Languages

Super Nav - Japanese

テクノロジー概要

CFDモデル作成およびシミュレーションテクノロジー

PowerFLOW®は、我々が20年間に渡り開発してきた格子ボルツマン法の拡張を基とした独自のDigital Physicsテクノロジーが基礎となっています。PowerFLOWは競合するCFDテクノロジーとは根本的に異なるものであり、これにより、私共はお客様にとってより有益なシミュレーションを提供しております。

PowerFLOWによるシミュレーションの特徴

  • 本質的に非定常:乱流など時間依存の現象をシミュレート
  • 数値的に安定:複雑な形状の解析でも高い信頼性
  • 高精度

従来のCFDでは、流体の動きを表す偏微分方程式であるナビエ・ストークス方程式が基になっていました。この方程式は、多くの流れに対して論理的に妥当ではありますが、非常に複雑で非線形です。この方程式では、その性質上ごく単純なシナリオ以外は直接解くことができないため、実用的なアプリケーションでは、近似値を求めるための数値的な手法を使用する必要があります。したがって従来のCFDアプローチの欠点は、ナビエ・ストークス方程式自体にあるのではなく、解を求めるために使用する数値手法にあります。

従来のCFDアプローチでは、連続的なナビエ・ストークス方程式を離散化させ、流れ場を3次元空間に位置する個別のセルに分割することで(コンピュータ画面上の2次元ピクセルに類似)、速度や圧力など、流れの特性を解決します。時間および空間上のあらゆる場所における流れの特性を解くことは数学的に不可能であるため、構成される計算格子と呼ばれる特定の場所で値が計算されます。

このような数値手法では、流れの格子とサーフェスの間のインターフェースにおける流動条件をシミュレートする場合にも困難が生じます。膨大な計算が必要になり、不安定になりやすいため、意味のある解が得られなくなります。こうした困難に対応し、計算に伴うコストを削減するために、多くの従来CFDアプローチでは定常ソルバーを使用し、変動する値をリアルタイムで予測するのではなく、個々のセルについて平均値を計算することで問題を単純化させてきました。ロバスト性と安定性を向上させるために、従来のアプローチでは過度の数値的散逸が生じ、安定性が向上するものの、精度を得るために不可欠な微妙な流動構造が失われていました。

これに対して弊社のDigital Physicsテクノロジーでは、格子ボルツマン法に基づいて、分子レベルとナビエ・ストークス方程式の連続体レベルの間にあるメゾスコピックレベルで流体を表します。従来のソルバーと同様に、格子ボルツマン法でも流れ場の離散化が行われます。このような離散化を行うとしても、格子ボルツマン法では、非線形性の強いナビエ・ストークス方程式を実際に解くことなく、これと同等の解を精度よく得られることが、1990年代初頭に証明されています。この理論的証明が、米エクサ・コーポレーション設立のきっかけとなりました。

PowerFLOWの大きな利点は、正確な予測にとって重要となる、非常に複雑な表面形状の詳細さを取扱うことができる点にあります。我々のコアテクノロジーにおけるもう1つのユニークな要素は、形状に対する忠実度を損なわずに流体と表面の公差を自動的に判定する「離散化ツール」です。他のCFDツールにも自動メッシュ生成は見られますが、ソルバーの機能が限定されているために形状を単純化する必要があり、結果の精度が損なわれる場合があります。

従来アプローチとは異なり、PowerFLOWでは数値的散逸が非常に少ないため、時間依存の流れが正確にシミュレートされ、流体騒音など高い精度が要求される分野にも適用することができます。さらにPowerFLOWは、従来のCFDソルバーでは非常に難しい、大規模並列コンピュータにも対応できるスケーラビリティが証明されており、ターンアラウンドタイムの短縮が実現します。

強い乱流の下では、微細なものから車両全体に渡る流れ構造に至るあらゆるスケールの動きを解決して直接シミュレーションを行うことは、計算上現実的ではありません。したがって、このような解決されない乱流構造に対応するモデルを組み込むことが必要になります。小さな乱流スケールはユニバーサルな性質があり、理論モデルによって予測することができます。ラージスケールの乱流はユニバーサルでないため、それらの動きを正確に予測できるモデルは存在しません。

この問題に対するCFDの最も一般的なアプローチは、乱流全体に渡って乱流モデリングを適用するというものです。これらのモデルはその理論的基礎を大きく超えて、定常状態のソリューションに適用されることも多く、その場合は流れの時間依存的性質が完全に無視されてしまいます。ラージスケールの乱流は性質上ユニバーサルでないため、このアプローチではユーザーが広範な乱流モデルから選択することになります。特定クラスの流れに適用するためには、経験に基づいてパラメータを調整しなければなりません。このような妥協があるため、従来のCFDアプローチでは特定の分野に適合する調整がなされ、流れの動きについてある程度何らかの洞察と理解を得ることで利用されています。しかしながらそれによって精度が損なわれ、設計を目標に達成するために必要な複雑な実験の代替えになる可能性が制限されます。

PowerFLOWでは、高度な3次元解と低い散逸度が特徴である非定常ソルバーが使用されています。これによりPowerFLOWでは、大規模で予測できない乱流を直接シミュレートすることが可能です。PowerFLOWでは乱流理論に基づいて、有効な部分についてのみモデリングを行い、残りについては直接シミュレーションを行います。

これらの特徴を合わせ持つPowerFLOWの基礎テクノロジーにより、これまで不可能であった新たなレベルの精度とロバスト性がシミュレーションソリューションによりもたらされます。これにより、あらゆる段階においてプロトタイプ試験が必要な現状から、ロバストで詳細かつ正確なデジタルシミュレーションに移行することで、開発プロセスを改善することが可能になります。結果、最終的な物理プロトタイプは、「発見」ではなく「確認」のための手段になります。

詳細につきましては、Exaリソースライブラリーにて最新デモンストレーションおよび専門家によるインタビューをご覧下さい。